第27回 福知山マラソン

福知山マラソン前半、由良川沿いを走るひらけんとがべちゃん。 2017年11月23日(勤労感謝の日)

報告  ひらけん


11月23日、自身4年連続4回目の福知山マラソンを走ってきました。伴走者は昨年に続き、ウルトラランナーがべちゃんです。今回の42.195キロも、いろいろなドラマがありました。レース当日の様子をご紹介します。

今年の福知山も昨年までと同様、いつもお世話になっている小峰さんの車に乗せていただき、会場へ向かいました。最初から乗っておられたのは小峰さん、ミセス小峰さん、実夏さん。京都駅で宗平さんが合流されました。実夏さんは朝練のため途中下車し踏水会へ。現地へ向かう途中、亀岡から福知山にかけては濃い霧が発生していました。会場に到着しブラインドランナー受付を済ませます。スタート時間までは、エネルギー補給しつつ、受付場所と同じ控室でがべちゃんを待つことにしました。宗平さんと小峰さんは、ランシューズを見るため外のショップへ出かけて行きました。地元の大会スタッフさんが、「ガイドヘルパーの○○です。何か困ったことがあれば教えてくださいね」、「今日の目標タイムはどれくらいですか?」などと声をかけてくださいます。やがてがべちゃんがやってきました。

スタート時間が近づき、準備とストレッチをして、がべちゃんとスタート整列へ向かいます。気温8度〜11度。明け方まで雨で心配だった天候も、スタート前には晴れ間が出てきました。アームウォーマーは装着せず、ビニールのカッパも脱ぎました。目標は自己ベスト更新&3時間15分切り!号砲がなり、Aブロックからスタート。周りは早いランナーばかりです。とここであるランナーが、「お〜い!○○さ〜ん!」と離れたところにいる仲間に声をかけつつ、斜め横から突然がべちゃんの前に割り込みました。「ほら!ちゃんと前見て走って!」と切れるがべちゃん。昨年のてらやんに続き(笑)。割り込みランナーは「ごめん」と言って前方へ去っていきました。

初めの1、2キロは足が重く憂鬱だったものの、徐々に体が温まり、よく動いてくれるようになりました。不思議と想定よりかなり早いペースで刻んでいきます。1キロあたり、昨年より10秒〜15秒も早いラップです。自分の体との相談が始まります。"このままのペースで行けるのか?後半持つのか?"。正直後半のことは心配でしたが、簡単な受け答えや会話ができる程度の余裕があったので、行けるところまでこのまま押し切ろうと決めました。がべちゃんも時々、「ひらけん、まだ余裕あるか?」、「去年と同じくらいの余裕あるか?」と聞いてくださいます。私のコンディションを詳細に確認してくださっていたのだと思います。「後半は声かけまくるけど、前半はあまりかけへんから自分のペースで走って」とも言われました。

8キロ過ぎに突如時雨れ出し、腕や足が一気に冷やされました。"聞いてねえ"と思いつつ、水を得たスイマーひらけんはひるまず、淡々とペースを刻みます。このあとも、時雨れては晴れ、晴れては時雨れるの繰り返しが続きました。さすが、がべちゃんは周りのランナーと違い、ウルトラ仕込みのコース取りで、緩いカーブが続くところでは「徐々に右に寄って」、「次は左に〜」と最短ルートへ誘導してくださいます。「ここから150mくらい緩い上りが続くよ。そのあと150mくらい緩い下りね」と遠距離解説も冴えわたります。14キロ過ぎ、がべちゃんのマルチポケットパンツに預かっていただいていたジェル1号を補給。

毎回のことながら、今回のレースは今までにないほど多くのランナーからマークにあいました。前半、ある女性が一人、真後ろをぴったり付いてきているのを感じました。他にも、がべちゃんや私の知り合い数名を含め何人も。がべちゃんもあとあと、「あの人数は半端じゃなかった」と言っていました。私の蹴り上げた足や後ろへ引いた肘に時々接触してきます。しかし、余計なエネルギーを使いたくなかったので一度も振り向かず、一切気にしませんでした。

由良川沿いをひた走る賀茂川の閃光ちゃんは着々とイーブンペースを刻み、20キロ地点、ハーフ地点も気持ちよく通過。がべちゃんは1キロごとのラップタイムと、フル3時間15分のイーブンラップを基準に、現時点でどのくらい貯金ができているかについても教えてくださいます。もう大大大感謝です!着々と貯金を蓄え、ハーフ通過時点でちょうど3分のアドバンテージを得ました。

24.5キロ地点の折り返しが近づき、対向車線を走るランナーとのエール交換が始まります。ずーみんさんたちサブスリーペースのランナーが駆け抜けていきます。先行している吉川さん、中村さんともすれ違ったはずです。じきに私も折り返しを迎えました。恒例の太鼓演奏が行われています。"行きはよいよい 帰りはきつい"、復路の戦いの始まりです。対向車線を走ってくる多くのランナーからエールをもらいました。私も右手を挙げて答えます。賀茂パの方々を判別できず。ミセス小峰さん、宗平さん・小峰さんペア、テツさん・わたぼんさんペア、ミッキーさん・角井さんペア。いずこに(泣)?ここでアクシデント発生!がべちゃんにジェル2号を依頼したところ、取り出したがべちゃんの手からジェルがストン…。さらに足でパーンと蹴りました。ジェルが右前方、対向車線のランナーたちの方へすっ飛んでいきます。幸いセンターラインあたりで停止。T12ひらけん、とっさにロープを放し、ジェルに向かって猛然と突っ込みました。一瞬しゃがんでジェルをスパーンとキャッチ。立ち上がってランの体制に戻ろうとした瞬間、左ふくらはぎがビギーンと痙攣。"やべっ!"っと思いましたが走り出し、元の動きに戻ったところ何とか収まってくれました。やれやれ。ジェル2号をジュルル。

28キロくらいから徐々に体に疲労を感じるようになりました。若干のペースダウンが始まるも、腕はまだよく動いてくれています。ここからがスイマーの力の見せ所です。"ピッチさえ変えなければそれほどペースは落ちひん"と、自分の腕振り、ストライドのリズムのみに集中しました。がべちゃんがエイドで思うようにドリンクが取れず、時々イライラカリカリしています。また、これまで経験したことがなかったのですが、がべちゃんより私が半歩前へ出ることが何度かあり、ロープに重さも感じました。ついには30キロあたりで、がべちゃんの息が上がり始めます。前日、前々日と仕事が立て込んでいたそうで、ベストコンディションとはいえなかったようです。私から、「あせらず、ゆっくりでいいですよ」、「がべちゃんファイト!」、「がべちゃんナイス伴走!」と何度かお声かけしました。さすが、百戦錬磨のがべちゃんです。その後、エイドのバナナを補給しきっちり持ち直してくださいました。

私の後ろをマークしていたひらけん軍団の面々もだいぶ振り落とし、中には「付かせてもらって助かったわ。がべちゃん、ひらけんありがとう!」と言ってパーッとペースアップしていく人も。"こらー!俺はサブ3時間15分のペーサーとちゃうぞー!"(笑)。粘りの走りが続きます。コース上のランナーはまばら。落ちてくる人ばかりです。「この調子。一人一人拾っていこう」とがべちゃん。36キロ過ぎにわーわーずの大久保さんペアをかわしました。ところで、30キロ過ぎからずっと私の真後ろ両側に男性が一人ずつ。しばらく余裕がなかったものの、37キロ過ぎにジェル3号が効いてきたおかげか体がふっと楽に。"あんたらさては、かりんとう大佐の手下だな。最後の上り坂で俺をさっとかわそうったってそうはいかんぞ!"気持ちで体を前へ押し出し、最後の二人をちぎりました。39キロあたりで、中村さんをかわしていたらしいです。

いよいよレース終盤。40キロ地点で最後の給水。ゴクリと飲んだ次の瞬間、右わき腹に激しい差し込みがきました。あまりの痛さに右手で押さえながら、「いてて!いてて!おえおえ」とわめく私。"ここにきてこれかよ。ゴールまでの残り2キロ、こんなのが続くのか"と絶望的な気持ちになりました。ここでもがべちゃんに救われました。「この1キロはこのペースで落ち着いていこう。最後の上り1キロで頑張ったらいいから。大丈夫!15分は絶対切れるからな!」。この言葉で冷静になれ、長く息を吐くことを意識し呼吸を整えました。幸い、やがてわき腹の痛みは消えたのです。さあクライマックスの上り坂。沿道のおっちゃんが私に、「1位や!」と叫びました。これは、絆を結んだ伴走ペアとしてトップで帰ってきたという意味です。一人、また一人とランナーをかわしながら上っていきます。斜面がきつくなり、前に進んでいる感じがしない。とにかく大きく腕を振りました。フィニッシュソング、『希望の轍』が聞こえてきました。意識が遠のきます。がべちゃんが私に、繰り返し発破を掛けてくださいます。「ひらけん、上りはあと200!あと200!」呼吸のテンポをマックスまで上げました。坂を駆け上がり右折、ゴール前の直線!ラスト数十メートルはロープを手放し、ゴールゲートへ突っ込みました。がべちゃん笑顔でガッツポーズ!私はゴール地点のマットを駆け抜け、停止すると、前屈しもうがっくりでした。それでもJBMAの鈴木邦雄常務理事に迎えられ、がべちゃんとのツーショットを撮ってくださるということで、次の瞬間には笑顔になれました。終盤、だいぶ差を詰めたものの、結局吉川さんには追いつけず。くっそー!


フィニッシュシーン。二人でゴールゲートをくぐっている。がべちゃんガッツポーズ!

タイム3時間14分32秒で目標クリア!この福知山で、4年連続自己ベスト更新を達成できました。想像以上の走りができたという気持ち4割、練習の成果がしっかり出せたという気持ち4割、もっとタイムを出したかったという気持ち2割といった感じです。また、昨年に続きT12の部優勝ということで、がべちゃんと表彰台に上がらせていただきました。伴走してくださったがべちゃんにも、少しですが恩返しできたのではないかと思います。最高に楽しい42.195キロでした!今後も練習し、さらに記録更新を目指します!




戻る